眠り姫は最愛の星に[X]の名を
情緒溢れる皆様に捧げる、私の最後の妄想です。
~前書き~
私たちの愛する「ぼくたちは勉強ができない」はおそらく17巻で終了する事がほぼ確実となったのでしょう。
今週、作品のアイコンである緒方理珠と古橋文乃のWヒロインが自身の恋に決着をつけました。本当に言葉が出ないくらい素晴らしかったですね。これで物語内における最大のタスクの内の2つが完了した事になります。
加えて16巻と17巻の表紙が繋がる事が発表され、このようなスペシャルな展開がされるとなるとどうしても18巻以降に続くと思うのは難しいです。
9話ずつの収録となる単行本は、既刊で最新の15巻が問132までの収録です。
なので16巻は問141までの収録。
この話はぼく勉の集大成の回、合格発表とうるかの衝撃の告白で締めたお話でした。次巻への引きとしてバッチリです。
なので17巻は150話で終了。もしくは最終巻という事で1-2話程度増話する可能性はあるでしょうか?
そして今週話が問147。最短で残り3話で終了という事実が心に突き刺さります。連載開始から3年。ずっと夢中になって追いかけてきた作品です。
寂しいです。本当に寂しい。
しかし何事にも終わりはやってきますし、彼女達と同じく私も本当にこの作品に幸せにして貰いました。
「できない」を克服し、夢に向かって歩みを止めない彼女達のように、この作品への感謝の気持ちを込めて、私も決して立ち止まる事無く成長を続けたいと思います。
かつて感じた事の無い特別な惜別の念を抱きながら。
~本文~
いよいよこの作品の恋の物語は武元うるかが結ばれる道が整えられましたね。
ここで文乃と理珠の二人の話を描いたので、次週はあすみの恋の物語の決着でしょうか。
次回予告にトラブルが続出、とありますね。
小林の自転車を借りて出発するも途中でトラブル①で断念、その時海外に戻るかすみを空港に送る小美浪家の車に鉢合わせるとか…?
(文乃と理珠を「しのび寄る影」扱いした事は多分一生許せません。本当にこの作品の編集者には失望しました。あすみの話も「トラブル」扱いにしても何もおかしくないですよね。これは甚だ不愉快です。非常に残念な気持ちになりました。)
気を取り直し
私はあすみのニセコイ話は未消化で終わらせていい話では無いと思っています。
父の心配に対して「嘘」で答えてきた彼女が本当の事を伝える。これが彼女に残された最後の課題です。
決してハイステージはあすみにとって悪いお店ではありませんでしたし、そこでの経験も彼女の為にもなっていた筈です。
説明すればそれが分からない宗二郎ではないでしょう。しかしそれとこれとは話が別です。
このままだとあすみは父にも成幸にも不誠実になってしまいます。お世話になった成幸に嘘をつかせたまま、うるかの元に向かわせる事をきっと彼女も許さない。
形式上このままだと成幸は小美浪家という1つの世界においては、彼はあすみと交際した状態でうるかに告白しにいく事になるのです。
あすみは意を決して父親にニセコイを告白して、その仮初めの関係を終わらせる。その時に側には母かすみもいてくれる。
嘘で誤魔化すという娘の誤った決断も、全ては勉強しながら学費を稼ぐという条件を満たす今のバイトを続けるため。
そしてそれは、母かすみが去った後の診療所を守るためが故の事。
父が娘を叱るから、母が娘を慰められる
ずっと「大人にならなきゃいけない」と思っていた彼女が、自身がこの2人の「子供」である事を再度認識する事が出来る物語。私は元よりあすみにそのようなストーリーを見出しているのですが、それが中々ハマりそうな気もします。
https://twitter.com/fuminoski/status/1199997865235345408?s=21
そしてうるか達の話を聞いていた彼女は、最後に自分の想いを漏らして、それを「冗談」とはしない事で成長の証を刻むのではないでしょうか?
これは自分の気持ちも人の気持ちも理解出来るようになった上で、成幸の負担とならないようにその想いを「軽々しい冗談」とした理珠との対比となるのではないかと。
どうも理珠の方向性はあすみ方面に向いているような気配をこの作品はちょこちょこと示唆しています。
最後の最後でこの2人の成長がクロスする気がしてなりません。
そして成幸はいよいようるかの元に辿り着く。
彼の出した「答え合わせ」をするために。
うん。
うん。
確信しました。
この物語の行く末。
成幸が選ぶ事になる相手は
「古橋文乃」です。
〜文乃が選ばれる理由〜
私がTwitterで発信している考察(妄想)の根拠はメタ的な物を控え目にし(特に文乃に関しては)、基本的には「テクスト論」的に登場人物達に実際に生じた描写のみで行っています。
例えば文化祭の花火のジンクス。この時私は手を握っていたのは「うるかとあすみでは無い」という予想を立てている訳ですが、これを持って「うるかのENDはない」としたらメタ的な予想という事になりますね。
ここまで成幸のうるかへの想いを特別なように描いておいて、それをひっくり返す根拠とする物がそれではそんな意見を見る人も納得は出来ない筈です。それは重々承知しています。だから私もそこは根拠にしてません。
しかし、ぼく勉の世界において確かに文脈上に影響を及ぼしていると思えるメタ要素がありますよね。
3つの童話「眠り姫(文乃)」「親指姫(理珠)」そして「人魚姫(うるか)」です。
それぞれのお話で、唯一「姫が王子と結ばれない」物語が人魚姫。そんな「できない」物語をモチーフにあてがわれたうるかだからこそ、「できない」を克服する本作のテーマにおいてはその結ばれない運命を打破する存在として思われていた訳です。
これは非常に優しい物語ですよね。それはまさにぼく勉という物語に相応しい「らしさ」の溢れるお話です。
しかしです。
前もTwitterで書きましたが(https://twitter.com/fuminoski/status/1220211021870026753?s=21)
「寝ている王子が他の女性の名前を呟くのを聞いてしまう」
こんなものは人魚姫のストーリーその物です。
うるかが人魚姫として、その運命を打破する物語であるなら、その想いが報われない事になる文乃に人魚姫のストーリーを与えるべきでは無いんです。これはぼく勉らしく無さ過ぎます。
「らしくないからあり得ないのではないか」
これも私のメタ的な予想です。こちらについても都合の良い期待かもしれませんが、多少は共感を頂けるのでは無いかと存じます。
そしていよいよ今週、文乃はその想いを一切伝える事無く封じ込めました。つまり、想いを伝える事が「できなかった」んです。
武元うるかという人魚姫は想いを叶え、古橋文乃という新たな「できない」人魚姫を生む。
そんな物語をぼく勉がすると思いますか?
そしてここからは私の普段の妄想のベースに戻ります。
今回の2人の成幸への行動は
理珠は「動いて」
文乃は「動かなかった」
彼女達の気持ちを知ったうるかが、2人にかけた言葉は「心のままに動いてよ」です。
「成幸と同じくらい大好きな2人」にかけたその言葉。この言葉に込められた重みは大きく、彼女自身軽視は絶対にしない筈です。
だから、うるかが空港で成幸からの告白の答えを聞いた時に、彼女は恐らくこう聞き返すんです。
それはあの日、文乃と理珠がそれぞれ成幸にキスをしようとしたのを彼女は見ているから。
彼女達が「心のままに動いて」くれる事を願っていたからこそ、それが果たされたかの確認をすると思うのです。
そして、成幸の答えに文乃の名前はありません。
〜〜〜〜
「これはさ成幸。私の【友達】の話なんだけどさ」
「その子はね、ずっと私の恋を応援してくれてたんだ。私はそのお陰で成幸への想いを諦めずに済んで、5年間する事が出来なかった告白をついにする事ができたんだ」
「でもね、今はその友達はそんな私に気を遣って自分の想いを伝える事が「できない」でいるの」
「私は、それがどれだけ辛い事なのか分かる。【できない人の気持ちが分かるのはそれができなかった人だけだから】」
「私は成幸がそれほどまでに真剣に私の事を考えてくれて本当に嬉しいんだ。でもそれは、その友達が私の背中を押してくれて、告白をする事が「できた」からなんだよ。」
「だからさ成幸。私の事を真剣に考えてくれたように、その子の事も考えてあげて欲しい。」
〜〜〜〜
ここからは私の感想です。
人の恋路をずっと応援していた子が、自身の恋心との間で揺れる苦しみをこれ程までに描いて、その献身については一切触れられずに文乃がうるかに「許されて」終わる?
そんな話し普通はあって言い訳ありません。
問144で文乃は謝らずに、うるかは責める事はしなかった。
この2人の間では100%これで良いんです。
これはどちらも最大限に評価に値するところです。これは非常に筋が通っている。
だからこそ、物語中でハッキリとうるかの側の行動を評価させた今、絶対に文乃の献身も評価されなくてはならないでしょう。
文乃の苦しみは彼女の察しの良さや、気遣いがちな性格という「優しさ」故に生まれたものです。
そしてこの彼女の献身を持ってうるかの恋が繋ぎとめられてきたのは紛れもなく事実なんです。
これを作中でなんら言及されずに放置して言い訳がありません。
ぼく勉に唯一認める事が出来ない展開があるとするならば、私はここです。
「友達の相談=戯言シリーズ」を決着させない事です。
ぼく勉のこれまでの展開で言えばこれは確実に拾われるでしょうし、拾われるべき話。
それがここまで残った今、使われるのはそういう形になるだろうというのが私の「メタ視点での予想」と「テクスト中の描写からの予想」を交えた「本音の予想」となります。
・理珠とあすみを対比させる事で文乃の恋の対比対象となるのがうるかとなり
・小美浪家の物語を見た成幸が自分がついた「嘘」を思い出してかつ「家族」の良さを見出し
・うるかの言葉でもう一度、「できないに寄り添う事」を自分が大事にしていたと再認識する
こんな展開がこの後なされたら、その結果導き出される答えは「成幸は文乃への気持ちを考える」です。
Twitterでも散々書きましたが、私は依然この物語がそのような流れになっていると信じてやまないのです。
文乃が成幸にとっての特別たり得る理由
それは「家族」としての結びつき
https://twitter.com/fuminoski/status/1227962441213984769?s=21
そして再び今週文乃は彼の「姉」となったのです
私はこの流れに乗ります。最後の最後までドキドキしながらこの作品を読む事に決めました。
そしてこれは小さな妄想になりますが、ぼく勉の5つの長編のタイトルを見て気がつく事はありませんか?
・最愛の星に[x]の名を
・氷の華は黄昏に[x]と舞う
・砂上の妖精は[x]に明日を描く
・機械仕掛けの蛍は[x]の淡雪に焦がる
・泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ
古橋文乃の物語、最愛の星編にのみその長編の主題の人物を指し示す言葉が含まれていません。
なのでこのタイトルは恐らく未完成なのです。
かつて文乃は静流の支えとなってくれた、最愛の父の名を新たに発見した星に付す事を夢見ました。
次は彼女自身の番。
自分を支えてくれる事となった人の名を、星に付ける事を夢見るのです。
そして、それこそが文乃の長編の締め括りとなる「眠り姫は最愛の星に[x]の名を」という物語として描かれるのではないでしょうか。
私はそんな妄想をするとドキドキが止まらないのです。
やっぱり、ぼく勉の事を考えるのが大好きなんだと。
まとまらない記事になってしまいましたが、以上で結びとさせて頂きたいと思います。私は古橋文乃の物語を諦めきれません。
私の大妄想をここまでご覧頂いた最愛の皆様に無限の感謝を。
Fuminoski