彼女達の成長は[x]する
~前置き~
(全部読み飛ばしても問題ありません)
恐らく最後の妄想ですと銘打ってから3日。
昨晩更新するといってから1日。
自分の言葉のアテにならなさを自分で噛みしめているFuminoskiです。
ひいては当ブログの内容もその程度だとお思いください…
加えて今週話の感想もまだ自分の中で言葉にできていません。
ただそれは展開の不満などからではないです。
作中での一年を通しあれだけ丁寧に丁寧に、高く、大きく積み上げてきた成幸への想い。
それをそっと閉じた二人の「答え」と、その心情に本当に心を揺さぶられたからです。
もしかしたらまだ物語には動きがあるのかもしれません。
しかし二人のうら若き乙女がそれぞれの初恋に自身で決着を着けたのは紛れも無い事実なのです。
この心の振動は今でも尚続いているので、揺れが少し収まってからでないとこの気持ちを丁寧に出力することが難しそうです。
ここは本当に大事に振り返りたいので、もう少し時間を置いてから感想として書いていきたいと思います。
(本当になんで彼女達の物語にここまで思い入れが強くなったのか、今では言葉で説明がつきません。これが愛というやつなんでしょうか)
また唐突に私見を述べさせて頂きますが、創作物から受ける喜びも悲しみも「感動を覚える」という点からすれば同価値だと思っています。
これだけ心を揺さぶられる体験というのは中々得難いものであり、これ自体に価値があるのだと私は思っております。
思いを乗せたキャラ達が喜んでいるから共に喜び、悲しんでいるから共に悲しんであげる。その気持ちを推し測り、共感してあげる。
それが作品に寄り添う事の醍醐味ではないでしょうか。これほど人の心を豊かにすることもありません。
やはりラブコメの素晴らしさとは圧倒的に感情移入がしやすいという事に集約されると思っています。ぼく勉からはそんな事も改めて学ばせてももらいました。
折角学んだ事を忘れないように、今自分の中で芽生えている感情も大事に大事に味わって噛み締めて、ノートにちゃんと書いておこうと思います。
~本文~
➀緒方理珠と小美浪あすみの[x]
また前置きが長くなりましたが、そんな訳でまさしく文字通りの現実逃避(あの最強ブログが頭に浮かぶと思ったので語句の意味を強調)で今週はこれまで本腰をいれてこなかった展開予想やメタ読みに意識を逸らせております。
今回の妄想のきっかけは前回の自分の記事内で言及した「理珠とあすみの成長のクロス」です。
実はこれに込められた意味は深く、この作品を象徴し、物語の行く末すら示唆するものだったのかもしれないと思いました。
作品のアイコンである緒方理珠と古橋文乃は、「機械仕掛けの蛍」編が特に顕著ですが、その相対性が物語を通じて描かれていました。彼女達の互いへの想いの交差は特に記憶に鮮明に残っていますね。
なのでやはりこの2人こそがセットで考えられがちですが、今回の話で見せた理珠の行動が彼女にとってのもう一つの対比対象を浮かび上がらせました。
これは理珠が特大の成長を果たしてみせた描写ですよね。
自分の気持ちがもう軽々しい物では無くなっていたからこそ、決して後悔しない為にしたキスだったのでしょう。
加えて成幸の気持ちがうるかに向いてる事が分かっているからこそ、彼に返事を求めないためにこのキスを「冗談」としたのでした。この子は本当に成長しましたよね。
しかしその成長を果たした姿はかつて憧れた文乃ではなく、完全に「小美浪あすみ」のそれです。これが意味するものはなんなのでしょうか?
年上ならではの余裕から、成幸をいつも「冗談」でからかい翻弄してきたあすみ。
理珠はそんなあすみのように、その本意を見せずに成幸を翻弄するような行動を長編あたりから取り始めていましたよね。
理珠が段々と人の気持ちを理解し始めている、という現れであった訳ですが、加えてこの成長の方向性(あすみ)へと走った事には理由があったように思えます。
そのヒントとなるのは問75「機械仕掛けの彼女は時に[x]にかしずくものである」です。
この話はメイドカフェ・ハイステージで理珠が対価のボドゲ目当てに人でメイド役としてお手伝いをする物でした。
この回、理珠が自身の夢を「人の(特に成幸の)気持ちを知りたい」に昇華させた回としても重要でしたが、もう一つ大きな要素があります。
それがこの時理珠が「初めていっぱいゲームに勝った事」
そして併せて「あすみが圧倒的なゲームの上手さ(イカサマしてますが)を見せた事」です。
これ、理珠は完全にゲームの場をコントロールしていたあすみにここで密かに憧れを抱いたのではないでしょうか?
ラストの「ご主人様」も、そんなあすみとのやり取りだったから強く心に残ってきた故に出てきた言葉だったのかもしれません
つまり理珠の目指す形は次第にあすみの方向性となっていた事に理由はつけられるのです。
彼女にとって「ゲームに勝ちたい」という思いはとても大きな物でしたから。
そんな理珠の「冗談」というキスの釈明。これが彼女の成長の証である事は誰が見ても明らかですよね。
理珠は成長した結果あすみのスタイルに辿り着いた訳です。
対してあすみ
これはただの設定の羅列ですが、共に低身長だったり、実家が事業を経営していてそれを継ごうと思ってる点など地味に共通点がある上に、理珠は「理系の天才」です。あすみが苦手とする分野の才を理珠が持っている事。これは偶然でしょうか?
ちなみにあすみが特に苦手としているのは恐らく物理ですよね。
これからあすみにも自身の想いに決着を着ける事になる順番が回ってきます。その時、彼女は果たしてかつてのように笑いながら成幸への想いを「冗談」とするのでしょうか?
私は恐らくそうはならないと思います。
やはりこの気持ちを真っ向から「本気」のものとして伝える事が彼女の成長の証の描写になるのではないかと。
そして偽らざるまっすぐな姿勢を見せたならば、やはりそれは理珠に重なるものになるように思えるのです。
共に成長した先に行きつくのは、お互いの姿。
もしもそうなったのならば、ぼく勉のサブタイトルとして馴染み深い[x]とはヒロイン達の成長が[クロス(x)]する事の示唆となるのではないでしょうか?
そんな風に考えれば、地味にあすみと理珠の繋がり、ちょこちょこ描かれていたのかもしれないなぁなんて。
➁古橋文乃と武元うるかの[x]
そう考えればこの二人の物語もかなり示唆的に思えてきます。
文武両道という言葉があるように「文」は「理」だけじゃなく「武」の対照にもなりますね。
ぼく勉という物語中でうるかを代表するエピソードであった「成幸への募る想いを打ち明けられない」は、人魚姫のモチーフと共に今まさに文乃に引き継がれています。
人の心の機微に聡く、優しい彼女はずっとうるかの恋を応援してきました。その中で芽生えた恋心をずっと封じ込めてきた文乃の「成長」という証は、やはり成幸にその想いを伝える事。恐らく皆さんが想像されていたと思いますし、私もそれを確信していました。
しかし今回文乃はその想いに蓋をして「姉」として彼を応援することに決めましたね。
想いを伝えずに成幸の邪魔にならないようにする。これもかつてうるかが通った道です。
やはり文乃にうるかの物語が投影されている可能性はあると思えませんか?
対してうるか
文乃へのファーストインプレッションも「あたしの理想そのもの」と言っているように、女性としての憧れを彼女に抱いていましたね。そんな文乃にずっと背中を押され、彼女はその想いを繋ぎ止め、ついに大願である告白にまで至りました。
ちょっと逸れますが、その告白に答えを求めなかった事、旅行中に同じ空間にいても自然体にしていた事、そして今週成幸に出発時刻の変更を伝えていなかった事。
これらからもやはり彼女は告白をしたこと自体にある程度の達成感を得たのではないかと思います。もしくはそう思い込もうとしているか。
(海外に飛ぶ自分がそこから成幸とどうこうなろうというのは、彼女の中では望外の願いという風に思っていそうです。勿論成幸への想いは本物でしょうが。)
つまりうるかにとってこの告白自体が特別なものであり、そこに導いてくれた文乃への想いも同様に特別なものがあって不思議ではないでしょう。
ずっと文乃に背中を押されてきたうるかが、あの時友人達の背中を押す為にした発言。
これはうるかが文乃の方面への成長を見せたとも言えます。
そして先の私の妄想(https://fuminoski.hatenablog.com/entry/2020/02/17/033721)にあるように、次はうるかが直接的に文乃の背中を押す事になり、文乃が成幸への想いを告げるという成長を果たせば、文乃とうるかの成長もまた[x]する事になるのではないでしょうか?
と、私は再びこんな妄想しているという訳でございます。
不確定な事項ばかりで、まさしく言葉の通り「妄想」としか言えないお話ですがどうでしょうか。こんな物語があったら面白いと思いませんか?
私はやはり筒井先生がぼく勉に込めた物はとても大きく、そして深いと思っています。
そして今、再びこの作品が秘めた可能性を感じられた事に大きな喜びを覚えています。
物語がどうやって、何を意図して作られているのかは筒井先生にしかわかりません。
しかしこんな妄想が「できた」時点で、私はこの作品を心から楽しめていると自負できます。
この上、そんな気持ちをここまで記事を読んで頂けた皆さんと共有する事が出来ればもう無上の喜びでございます。
連載は本当に残り僅かとなってしまったようです。物語の行く末も大勢は決したように見えます。
ただ、もしよろしければ
最後の最後まで
[x]な可能性を秘めてるかもしれない、ぼく勉ワールドに浸りませんか?
本当に素晴らしい作品に出会えたこの奇跡に、無限の感謝を
Fuminoski